津波痕跡データベース(津波痕跡高情報)システムとは

 

【整備目的】

津波来襲によって、浸水や遡上した場所に残される痕跡を「津波痕跡」と呼びます。津波痕跡には、壁に付着した泥、破壊された建物や漂流物、植物の枯れ際などの浸水限界を示す痕跡など1)があり、それらの津波痕跡から推定される津波の高さ(浸水高、遡上高、浸水深など)を「津波痕跡高」と呼びます。

日本では先人達の地道な努力により、過去数百年前から現代に至る、全国各地の痕跡記録が収集・蓄積され、それらの記録に基づく津波痕跡高情報は、津波数値計算モデル(計算手法、波源モデル、地形モデル)の検証、津波予測評価結果の妥当性確認に活用されています。

 

東北大学災害科学国際研究所津波工学研究分野では、津波痕跡データを 原子力発電所等の安全性評価に活用するために、津波専門家との協働で「津波痕跡データベース(津波痕跡高情報))」(以下「本データベース」という。)を整備しました。

 

本データベースに登録された約3万件の津波痕跡高情報は、土木学会(2002)等2)、 3)、 4の判断基準に基づいて、痕跡の信頼度が付与されています。

 

データベースシステムは、Web-GISを基盤とした管理システムで、ユーザーが目的に応じて津波痕跡高情報を検索し抽出できるものとなっています。

 

これらの成果を、原子力安全分野や津波研究分野だけでなく、自治体での津波防災や沿岸住民の皆様にも活用していただくために、平成2210月よりインターネットを介して広く一般に公開しています。

また、本データベースは国際的有用情報として、IAEA/ISSC(国際原子力機関/国際耐震安全センター)のWebページ5に掲載されています。

 

なお、本データベースの登録データが、日本の津波痕跡データの全てではないことをご承知置きください。

データの登録に当たっては、入力ミス・誤記等の間違いがないように努めておりますが、もし、入力ミス・誤記等をお気づきの際には、事務局へお知らせ下さい。

また、津波痕跡高情報は予告なく修正等されることがあります。ご利用の際には、最新の情報を利用するようお願いします。

さらに、本データベースの背景地図として用いており国土地理院が地理院地図として公開している電子国土基本図(地図情報)は、道路や大規模建築物などの主要な項目に新たな変化が生じた場合、公共測量成果や国及び地方公共団体などの資料収集等に基づき更新されることがあります(http://www.gsi.go.jp/kibanjoho/mapinfo_what.html)。代表地点として入力されている位置情報は現時点(電子国土Webシステム(Ver.4))での地図情報(海岸線や港湾地形等)を踏まえて登録しているため、上述の更新が行われた場合等、位置情報に齟齬が生じる可能性があることをご了承ください。

 

1)首藤伸夫・今村文彦・越村俊一・佐竹健治・松冨英夫,津波の事典,朝倉書店.

2)土木学会原子力土木委員会津波評価部会(2002):原子力発電所の津波評価技術、附属編-1p.2-15,平成142月.http://committees.jsce.or.jp/ceofnp/node/5

3)岩渕洋子・杉野英治・今村文彦・都司嘉宣・松岡祐也・今井健太郎・首藤伸夫,2012,信頼度を考慮した津波痕跡データベースの構築,土木学会論文集B2(海岸工学),vol.68No.2I_1326-I_1330.

4)松岡祐也・都司嘉宣・今村文彦,2015,歴史津波の痕跡記録に対する文献信頼度の判断基準について,津波工学研究報告第32号,pp.241-249

5International Seismic Safety Centre/International Atomic Energy Agency,

https://issc.iaea.org/web/information-sharing.html

 

 

【本データベースシステムでできること】

津波痕跡データベースシステム(津波痕跡高情報)では、様々な方法で津波痕跡高情報を検索、表示して確認をすることができます。システムでできる代表的なこととして、以下のことが挙げられます。

 

○地図から津波痕跡高情報を探す

地図上に津波痕跡高情報を表示して、分布状況や詳細の確認をすることができます。

また、住所から地図位置を表示する機能もあります。

 

○キーワード検索と津波痕跡高情報のダウンロード

地震名や信頼度等のキーワード情報から津波痕跡情報を検索して確認することができます。

また、検索した結果は、調査研究、防災計画等で活用するために、CSV形式のデータとしてダウンロードすることができます。

 

○津波痕跡高情報の立体表示

検索した津波痕跡情報を立体表示用のファイル(KML形式)としてダウンロードすることができます。

ただし、立体表示には別途Google社の「Google Earth」をお使いのパソコンにインストールしていただく必要があります。

 

 

【関連事業】

本データベースは、原子力規制庁(及び旧原子力安全基盤機構)の受託事業により整備されました。具体的な事業は以下のとおりです。

 

・平成1921年度 津波遡上解析手法の高度化

・平成2223年度 津波痕跡データベースの高度化

・平成2425年度 津波痕跡データベースの高度化

・平成26年度 原子力施設等防災対策等委託費(津波痕跡データベースの高度化)事業

・平成27年度 原子力施設等防災対策等委託費(日本海沿岸の歴史津波記録の調査)事業

・平成28年度 原子力施設等防災対策等委託費(太平洋沿岸の歴史津波記録の調査)事業

 

 

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